一般社団法人 次世代プレキャスト施工技術研究会
設立趣意書
少子高齢化に伴う社会の生産力低下が懸念される昨今、建設市場においても同様に労働人口減少への対応が喫緊の課題と言えます。これに対して建設現場においては、作業の自動化・省力化などが求められている一方、工期短縮・コスト縮減のプレッシャーの中、生産性を優先するあまりに完成後の構造物の安全性を損ねる事例も散見されます。生産性向上の前提として、十分な品質の確保が担保されるべきであることは言うまでもありません。このような背景の中、建設工事へのプレキャストコンクリート製品(以降“PCa”と記す)の採用が注目されています。具体的には、国交省では「建設生産システムの省力化・効率化・高度化による生産性向上への取組みを強化する方針」を示しており、建設業界においても現場の省力化・効率化、工期短縮に向けた“プレキャスト化”を推進しています。
一般に“商品”は“価格”と“品質”の両面で評価されます。しかしながら PCa においては、強度や耐久性という基本的な品質、ならびにこれらを左右する使用材料、生産・保管方法などの影響について、これまで体系的に整理されていなかったと言わざるを得ません。このため PCaの品質の査定が困難であったことから、“PCa は現場打ちコンクリートと比較して値段が高い”という単純な評価につながり、PCa の普及を阻む最大の理由の一つとなっています。
今後の PCa 化推進のための環境整備に向けて、生産性と製品品質に関するデータを収集・蓄積し、PCa 活用のメリット、とりわけ設計・積算に資する情報の発信を継続的に行うことが重要です。また、これらの活動の活性化のためには、PCa に関連する研究者・組織のネットワークの構築と情報交換の推進が有効であると考えています。
これらの現状を鑑み、プレキャストコンクリート製品の施工全般(製造・品質・活用方法等)係る技術の向上・蓄積を図り、プレキャスト製品の合理的な活用方法の企画・立案に資する情報を発信するとともに、プレキャスト製品のさらなる普及と業界の振興発展に寄与することを目的として本研究会を設立いたしました。
一般社団法人 次世代プレキャスト施工技術研究会
代表理事 福室 順也